生成AIの出力したイラストについて

AI対絵師 AI

界隈の分断を生んでいる生成AIによる、いわゆるAIイラストの是非ですが、はっきり是か非かと言われると、私は是の立場です。ウェブサイトでも使いまくってますしね。

ただ現状、様々な問題があることも事実であり、実質的な損害を受けた人に対してはなんらかの対応があってしかるべきだと思います。ここで言う損害とは、

「自分の顔にそっくりな画像や動画を使い、自分が言って無いことや、卑猥な画像を拡散された」

「自分の描くイラストにわざと似せて生成されたイラストを、自分が、あるいはその公開した人が描いたものとして公に見られる状態にした」等であり、

好きだと思っていた絵がAIイラストだったから心が傷ついた、というのは含まれておりません。

んで反AIで盛り上がっているのは目にするわけですが、私から見えている業界ではAIを利用していないと出遅れるという雰囲気になっています。実際にAIを使うことで短縮される時間というのは半端無く大きいので、時間単位にこなせる仕事量がぐっと増えます。

AIイラストについても、私は以前からイラストレーターさんに依頼しておりましたが、描いていただきたい絵についてやりとりするのにも時間がかかりますし、申し訳ないと思いながらリテイクを出すことになります。もちろん費用的な面もあります。今の相場は知りませんが、オリジナルで細かいところまでキャラクターデザインをしてもらうと1キャラ十万二十万からの世界だと思っています。これはイラストレーターさんが高いという話ではなく、それだけの価値があるものだと思っています。当然の価格です。

一方で、それだけの費用は出せないし、時間も押してるし、そんなに価値もいらないんだよなあ、というシーンも存在します。例えば今の私。お金の発生するわけでもない趣味の小説を書いているけど、キャラクターの見た目が分かればイメージしやすいので、ささっと下書きくらいでいいから絵が欲しいなと思いますが、これをイラストレーターさんに依頼すると、「ささっと1キャラ10分くらいで下書きでいいからちょっと描いてよ。1キャラ千円までなら出すわ」になってしまうわけです。これはこれで失礼な話ですよね。そんな適当に描いたとして、公開とかされたら描いた側にしてみたらたまったものではありません。なので私はキャラクターのイメージを掴むためにガンガンAIイラストを生成しています。実際にそれでプロットが変わったりもしますし、ストーリーに深みが出たり、気付きがあったりするわけなので、もうこれは創作には必須のツールとなっているわけです。

ただしchatGPT-4(DELL-3)を用いて生成したAIイラストは絵柄の保全ができません。同じ絵柄でこういうポーズ描いてよと言っても、出てくるのはまったく違うものになります。おそらく使うプログラム、サービスによっては可能なのかも知れませんが、正式にそのキャラクターを使って色んな絵が欲しいとなってもAIイラストではそれができない、あるいは難しいわけです。なのでそういう状況になれば、私はイラストレーターさんにお願いすることになると思います。

結局、生成AIは道具に過ぎません。人間がする行程をかなりの速さですっ飛んで行くので、危機感を覚えるのも仕方ありませんが、今後は乗りこなしていくことを考えなければ、出遅れてしまうのではないでしょうか? 例えばこれは絵を描かない私の外野からの意見なのですが、イラストレーターさん自身が、自分の絵柄に似せた絵を生成させて手直しして、仮提出用の下書き代わりにしてしまうくらいの取り込みをしてみるという活用法もある気がします。

学習元がネットに公開されている画像を勝手に使っているという意見も聞きますが、人間だって最初は模写から始めますので、そこはなにも変わらないと思っています。

問題は生成の過程ではなく、その機能を使って「誰かの絵柄を盗んだ絵を生成して金儲けする。あるいは自己顕示欲を満たす。なんらかの悪意を満たす。騙す。貶める」という人間の行為なのではないでしょうか?

生産機械が人間の仕事を奪うと言われ、コンピューターが人間の仕事を奪うと言われ、その度に反抗がありましたが、結局は生産性によって必要とされることになりました。私はAIもそういう類いの道具だと考えています。使い方についてなんらかの規制や法整備はあるべきだと思いますが、技術そのものを嫌厭するのは、新しい物をただ嫌う考えの硬化になってしまうのではないでしょうか?

最初の方にも言いましたが、「自分の絵柄に似せたAIイラストが公開されている!」という被害は多々あるかと思います。人間が同じ事をやった場合はトレースでなければ許される以上、AIイラストについても同様だと私は思います。なんなら絵柄を似せられるというのは、オリジナルが評価されているということでもあります。むしろ状況をチャンスに変えて飛躍しようとするのが正解だと私は思います。

(実際のところ、イラスト依頼するときに、文字だけでイメージを伝えるよりAIイラストでこんな雰囲気を希望しているんですって、プロンプトと一緒に提出したほうが、実際的には早いと思うんですが、どうなんでしょうね? イラストレーターさん的には腹の立つ話になってしまうのでしょうか? 手間だけど、AIイラストを下絵に私が手書きしたらいいのかな?)

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